「1本の木」と新しい価値観の創造

更新日:2021年04月22日

長久手市内、計画中の中学校の運動場予定地の真ん中に、50年ほどその地に生きている1本の木があります。

サッカーのできる平らな運動場にするためには邪魔な木です。

いつの頃からか、山を削り田んぼを埋めて、私たちの都合に従ってまちが作られてきました。
さらに高度経済成長期という突っ走った時代には、自然破壊など目もくれず高層ビルやコンクリートの建築物が立ち並び、人の暮らしも激変しました。
しかし、この時代が生んださまざまなひずみは、人々の暮らしや生命までもおびやかす深刻な社会現象となってあらわれました。
経済的な豊かさを求めた大量消費社会は、もうすでにその限界を迎えています。

では、私たちは、幸せに暮らすためにどんな社会をつくればよいのでしょうか。
1人で考えて命令するのではなく、あるいはお金を出して他人任せにするのではなく、ひとりひとりが考え続けなければならないと思います。

みんなで迷ったり、智慧を出し合ったり、一緒に苦労して作業をすれば、いわゆる「コミュニティ」が生まれます。
それは、多額の経費をかけて、専門家が最短時間・最速の効率で作り上げ、さて、だれも利用しなくて困ったなぁと言われる場所とは異なる「地域の宝」となるでしょう。
今までのやり様を変える勇気を持つことで、実に様々な多くの人々が活き活きと笑い、泣き、暮らせるきっかけをつくることにもなると思います。

特に目的もなく、ふらっと立ち寄れる場所

何気ない会話や出会いに心が躍ったり落ち込んだりする感動いっぱいの場所

けんかしたり、愚痴を言ったり、相談したりする仲間がいる場所

そこに集まる大人たちの姿を眺めて育つ子どもたちは、きっと様々な生きる智慧を教わるでしょう。
特に子どもたちのために緑の野山があれば、自然という生命ある空間にどっぷりとつかり、その中に身を置くことで生きることの楽しさ苦しさも感じてもらいたいと願います。
やがて、その場所は、ひとりひとりの大切なふるさとになると思います。

目の前にあるすべてが一瞬にして失くなった東日本大震災から、早くも1年が過ぎようとしています。
自然の営みの前では、人が築いたものに「絶対」はないと、この未曾有の大災害から教わりました。
だからこそ、自然という生命ある空間の中で、助けあい 支えあい 与えられ また還す という知恵と工夫に満ちた生命の循環を忘れてはならないと思います。

今、立ち止まって、中学校の運動場の「1本の木」をどう生かすかを考えることは、とても大切なことです。
私たちの都合上、邪魔だから切るのではなく、その「1本の木」から、この40~50年のひとつの時代の仕組みや価値観を、もう一度見直していただきたいと思います。

邪魔なものも一緒に連れて行くことを、皆さんにも真剣に考えていただきたいと願っています。
あらゆるものが、一緒にいるためには、「ゆっくりとしたおおらかな心持ち」が必要だと思います。
だから「何事も、時間をかけてよい、失敗してもよい、遠回りしてもよい、無駄がたくさんあってよい、正解はなくてよい、あったとしてもひとつでなくて良い、いつも迷っていてよい、未完成でよい」と提言してきました。

こうした「心持ち」を軸にして、人が幸せに暮らすための新しい社会の仕組み、新しい価値(評価・しくみの指標)を創り上げていきたいと考えます。

長久手市長の直筆署名の写真

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